年初めの運試し
公私共にお付き合いのある素敵な友人達から、
年賀状代わりに、ミニゲーム参加へのお誘いをいただいた。
人生のほとんどの場面においてもそうであるように、
チャンスは一度きりのようだ。公開期間は1ヶ月間、本日1/31(土)まである。
画面には、どうやらアップル社の「iPod touch」(アイポッド・タッチ)
らしき景品がブラ下がっている。
"最高に遊べるiPod"と謳われるこの製品は、行列騒ぎでお馴染みになった
「iPhone」と同じく、全面タッチパネルでの操作だ。
後に、他社が雨後の筍として発売する商品の先駆けとなったガジェットの系列である。
頑丈だったアイリバー社製の携帯音楽プレイヤーが心肺停止し、
新規に買った国産某社のプレイヤーは、パソコン側の選曲ソフトの使い勝手が劣悪で、
iTunesに追いつけすらしない雲行き。
この千載一遇の機会に、是非手に入れておきたいところだ。
ゲームによってゲットすることで、実費購入するよりも数倍・・・
いや、数十倍の精神的価値が出るであろうことも折り込み済みである。
友人達には悪いが、ウェブ担当は
アンダーグラウンドな商店街と
密に接しながら育ってきたという背景があって、
商店連合が催す、福引き、クジ引きの類に関して、
主催者側がいつアタリを出すのか、
そのタイミングを季節毎、イベントの裏側から覗いてきてしまった。
端的に申告すると、一等賞や大当たりが、
いつなんどき出現するのか知っているのだ。
客側に見抜かれないようにと、いかにも自然に展開されるその模様は、
願わずとも身に擦り込まれてしまった心眼から観ると、滑稽に映るものだ。
元々、日頃お世話になっているお客様に楽しんでもらいたい。
という建前と本音が入り混じった気持ちを抱えた、商人側が提案する催しには、
「楽しんでもらいたい」という大看板が行き過ぎてしまう場合が多々発生する。
お客様を楽しませると同時に、悲しませてはいけない。
と強く意識してしまうのだ。
福引きやクジ引きで、客が一番興醒めする瞬間は、
自分にまだアタリが出ていないのに、他者にアタリが出てしまったのを知るコトだ。
自分に出るハズだった一等が、他人の手に渡ってしまったのである。
最悪の状況を回避し、手間暇かけて、自腹で主催したせっかくのショーを
大盛況のうちに終了させるには、
ある種の作為的なパラメーターに頼ることとなる。
今現在も各地で開催されている、この種の娯楽や、庶民の些細な夢を
ブチ壊すつもりは無いので、あえて明言は避けるが、
リアルな祭典が、インターネットという環境に変化したとしても、
この数値は引き継がれる。
さらにウェブだからこそ、「他人へアタリが出たことを知ってしまう」
悲報に遭遇する確率は跳ね上がる。
ネットの世界は、情報量も多く、情報を手にするコストも下がっているだ。
年賀メールを受信してから1ヶ月、戦略的に寝かしていた。
理由は割愛するが、本日が勝負の日なのだ。
スケジュールを調整し、ネットの回線を整え、マウスパッドを滑るマウスの具合、
スピーカーの音量セッティング、ゲームの参加資格以上に万全を期すために
環境と呼吸を整える。
"HATSUYUME"と銘打たれたこのスペシャル・コンテンツは、
お祭りや縁日などでよく見かける、「紐クジ」形式のようだ。
IDを打ち込むと、キャラクター選択画面に遷移した。
ここで、直感に従って自分の好きなキャラを選んでいけない。
そんなのは紐クジ素人のすることだ。
キャラを選んでからゲームがスタートするのではなく、
すでに制作者との心理戦という駆け引きに突入しているのだ。
華やかなイベントに喚起され、アマチュアはそのコトにすら気づかない。
私のようなゲームのプロフェッショナルは、
一発目の兆候を見逃しただけで、即アウトになる。
そんな血の池地獄のような現場を駆け抜けてきたのだ、
予兆を感知できないコトは、死に繋がることを身をもって知っているのだ。
長年付き合いのある友人達が仕掛けるこの罠を
どうやって突破するのか、私のテクニックを紹介しよう。
画面左から、こう並んでいる。
- 「黒い馬」
- 「トーテムポールのようなもの」
- 「緑の象」
- 「虎」
- 「青いカブトムシ」
さて、皆さんはどれを選ぶだろうか。
1の「黒い馬」、北斗の拳に登場するラオウの愛馬、黒王のような
このキャラは、格好が良すぎる。大多数の男性に人気がありそうだ。
みんなが選ぶ、という部分に罠が仕掛けられている。
2の「トーテムポール」のようなオブジェ、即断に迷うので保留。
3の「象」はどうか。
緑と黄色のポップな組み合わせが、女子の心を掴む。
2008年に流行した「夢をかなえるゾウ」による洗脳に
"初夢"という甘い単語を掛け合わせた巧妙な罠である。
4の「虎」、英語でいうとタイガー。
力強く安定したフォルムは、人々を魅了させる。
虎という言葉にまつわる諺が多いことでも
その魅力は伺い知れる。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」
と勢い付いて、ついクリックしたくなる。
しかし、ここにも罠が仕掛けられている。
2009年は丑年である。ウシの位置に何故トラがいるのか・・・
年配者なら、年始めに干支を意識するのは、ごく自然なコトだ。
だが、昨今の若者は干支など覚えていないのだ。
経験を積んだ者なら、2010年の干支が不自然にこの場に存在することに
違和感を覚えるハズだ。これは若者専用の罠なのである。
最後、5のカブトムシ。これも罠だ。なぜ罠と断言できるのか。
このミニゲームへの招待状は、仕事関係者にも送られていると推測できる。
当然、お子様がいるお父さん、お母さんにも送信されているハズだ。
イベントがあると、自分の代わりに子どもを参加させて楽しませてあげたい。
想像するまでもなく、どの親でも考えそうなコトだ。
子どもは例外無く「ムシキングが好き」
これは、男の子にだけ当てはまるのだが、
では、女の子は何を選ぶかというと、迷わず3番の「ゾウさん」を選ぶ。
両方とも親心を利用した罠なのだ。
よって、消去法で2番の「トーテムポール」が正解だ。
長い付き合いにより、制作者の嗜好が手にとるようにわかるのは、
些か有利だったであろう。
この、ブサカワイイ、もしくはホンノリきもい、誰もセレクトしなさそうな
キャラクターが、ド本命中のド真ん中である。
効果音と併せて楽しめるように構築されたレイアウト。
テキ屋2.0ともいえるような、近未来の胡散臭さが
ディスプレイから漏れ出すほどの
あやしいオニィちゃんが、進行役だ。
この2つがアドバンテージとなり、
あとは、大当たりの「iPod touch」が自動的に手元に来るのを
待つだけである。実に簡単な遊技だ。
ウェブ担当がかけた労力といえば、タイミングを計っただけ、
たったそれだけである。
なぬっ!
などと取り乱してはいけない、
ここでハズレを引いたぐらいで、怯えて縮こまって負けを認めてしまうから、
あなた方は、素人に毛が生えたようなクジ引きマニアに過ぎないのだ。
プロ中のプロは、ハズレがハズレでないことを理解している。
そんな事態はとっくに想定内なのだ。ワケは、こうだ。
どのクジ引きや福引きも、裏では人間が運営していて、
その仕組み、システムには人為的なバグ(不具合)や、
開発途中に活用したバックドア(裏口)を抱えている。
プロは容赦なく、そこを突く。
「一度と言いつつ、二度三度」
これはカラオケ時における"合いの手"でも活用される名言である。
チャンスは一度だけといいながら、
意外と同じIDで簡単に審査を通過してしまうものだ。
まぁ、軽いハッキングになってしまうが、友人達には許していただきたい。
友情を裏切ってまでも、勝者の称号を手に入れ、
「iPod touch」と添い寝したいのだ・・・
ズコーッ!
1ヶ月待ち続けただけに・・・ ズコーッ!