2009年10月31日

神様のボート

神様のボート 江國香織 横浜関内伊勢佐木町のカフェバー 音楽好きが集まる洒落た飲み屋 ウェブ担当がオススメする書籍

約束が
叶えられる瞬間

深夜、疎遠にしていた友人達から
ハイテンションな電話があった。

1人は、共通の先輩とお酒を呑んでいて、俺のコトが話題に上ったようで。
もう1人は、昔一緒に遊んでいた場所から、懐かしさのあまり電話があった。

(酔ってたのかな? まぁ、いいか・・・
自分も酔うと、ごくたま~に友達へ電話しちゃったりするもんね)

こうやって連絡があると、凄く嬉しい。

でも、直後、寂しさに襲われたりもする。

それは、「近々、会おうよ~」
といった約束が、叶えられないこと。

(今回は、後者がヒドかった。
 翌日会う約束をしたのに、こちらから連絡しても梨のつぶて)

他の人との口約束に関しても、フト思う。
学生の頃までは、こんなコト無かったハズなのに・・・

いつからだろう?

社会人になった頃か?

  • 「今度、一緒に呑みましょうよ~」
  • 「絶対、打ち上げやりますから!」
  • 「必ず、メールします!」

義理で言ってくれている場合もあるだろうし、
当人のテンションが上がっていて、その時は本気で言ってる場合もある。
最初から、こういう性格だ、って人もいる。

でも・・・

実現できないなら、言わなきゃいいのに。
そして、約束が反故にされると、毎度のことながら悲しくなる。

何回、小さく裏切られてきたのだろう、
どれほど、小刻みにすっぽかしてきたのだろう。

すべての口約束を、社交辞令として捉えられるほど強くもなく、
凹んで、人間不信になるほど、弱くもない。

そして、いつも思い出す。
『神様のボート』のことを。

あなたとかわす約束は、
それが口に出された瞬間に
もう叶えられている

江國香織さんが描く、女心の描写が好きで、
例えば『間宮兄弟』の第一印象を、女性ならではの現実的視線で
捉えているところとか。 (ナイーブな男性が読むと、女性に幻滅する程に正直)

『神様のボート』に出てくる葉子の場合は真逆で。
男性から観て、女性がこうだったらイイな、と表現されているように感じる。

(女って、夢見がちを熱望したり、装っておきつつも、
かなりリアリストだよね?)

と同時に、読み手が男性なら、自分が過去に囚われやすい、
おセンチな生き物だと知りつつ、自身を投影することも可能なのだ。

2009年5月17日

モーム 雨・赤毛・ホノルル

モーム 雨・赤毛・ホノルル W.Somerset Maugham 中野好夫 訳 横浜関内伊勢佐木町のカフェバー 音楽好きが集まる洒落た飲み屋 ウェブ担当がオススメする書籍 雨の日に読む
  • W.Somerset Maugham 著
  • 中野好夫 訳

本日は、「全国的に雨や風が強まり、
荒れた天気となるでしょう」

ってコトで、サマセット・モームの「雨」を読むにはピッタリの環境

代表作、傑作というワリには、訳者の技術の差なのか、
短篇選の方が面白かったんですけどね。

訳す時に、ストーリーが欠損してしまったのか、
人物描写を羅列しているだけでした。

2009年5月16日

モーム短篇選

モーム短篇選 横浜関内伊勢佐木町のカフェバー 音楽好きが集まる洒落た飲み屋 ウェブ担当がオススメする書籍 モーム短篇選  横浜関内伊勢佐木町のカフェバー 音楽好きが集まる洒落た飲み屋 ウェブ担当がオススメする書籍 暗部と
多様な側面
  • W.Somerset Maugham 著
  • 行方昭夫 訳

外側から観ると不可解だが、
当事者にとっては通常の状態がある。

あなたの周囲にも、こんな人達がいるでしょう。
周りにいるだけならまだしも、
その人々から今まさに、直接迷惑を受けているかもしれない。

(あなた自身が厄介者、だという可能性は置いといて・・・)

  • 性格の破綻
  • 多面性

人間の二面性や奥行きを、斜に構えた位置から
シニカルに観察する作家、サマセット・モーム

不幸と幸せが行ったり来たりする話は、人生の縮図

皮肉なタッチで人の暗部をエグリ出す、表現はこんな感じ。

誰かが、意見にあまりたっぷり自信がありそうな場合、
それが間違っていればいい
と思うのが人情である。

自分の愛する人の幸福を
自分の幸福より優先させるのは、
誰にとっても大変難しいからです。

しかし、女の心くらい予測できないものはない。
だから女が同じ状態にいつまでも留まる
と思う者は思慮が浅いのである。

人間観察が仕事になった。
といっても過言ではないモーム

自分から発せられる皮肉すら、
客観的に見ているフシがあるので、嫌味にならず、
人生訓としても読み取れる。

2009年1月21日

エネルギー

エネルギー 黒木亮 相手に
なめられない
交渉術

1ページ目から、いきなりの誤植が興醒め。
「ベイルートの首都レバノン」じゃなくて、
「レバノンの首都ベイルート」だろ・・・ 頼みますよ。

本編は細かい表現が多いので、他のミスプリント群も目立って見える。
校正まできちっと出来なかったところは残念。

総合商社を中心とした通常業務
(とはいっても日本で働く我々にとっては異常)から、
政府関係者、トレーダーの一歩踏み込んだヤバイ仕事まで。
日本へどうやってエネルギー資源が供給されているのかが話の根幹。

商売人が利権、利潤のために切った張ったを展開。
お互いのビジネス戦略が絡み合い、三方良しとなるか?
はたまた抜け駆けされて足元をすくわれるか?

1から10、プロジェクト開始から終了の段取りまで、
流れが決まっているわけではなく、各社
"オレに仕切らせてくれ"と未開拓地を切り開く。
そこには成り行き以外にも、策略や謀略の類が仕掛けられていて・・・

各自が育てあげてきた我が子のようなプロジェクト。
いったい、いつどこでぶつかり合うのか?

社内政治や横槍の体験をしたことがある人にとっては、
共感でき過ぎて、頭にくるはずだ。

当時、サハリン2の顛末をネットで目にした時、
流石に商社の人達が可哀想だ、と思った。
ニュースでは数行だが、その行間には、多くの人の年月、血と汗、
様々は思惑が滲んでいるであろうと、簡単に想像できたからだ。

サハリン2の成り行きを知ってる人は最高に満喫できる。
知らない人は、本書を読む前にどんなプロジェクトか調べちゃダメ。
結末を知らないことで物語を堪能したい。

ビジネスで役立つ、事前の契約締結や要件定義の肝心さ。

P.300
曖昧さから生じる
将来の紛争を避けるため

著者、黒木亮さんが展開した情景の細かい説明は、
もしかしたら司馬遼太郎を意識したのだろうか。

情景描写を削って、
メインの登場人物たちの心理描写や熱意、生い立ちなどを
もう少し突っ込んで解き明かせば、
尻切れトンボにならずに、さらに感情移入できたのではないか。

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2008年8月 1日

ドロップ

drop.jpg どんな立ち位置に
するのか?

中学時代を生き抜くポジショニング、
笑いあり、涙あり、切なさありの処世術が
物語を通してサクっと読める。

達也のお父さんが、すっげぇいいキャラしてる。

2008年3月30日

竜馬がゆく

ryouma_ga_yuku.jpg

司馬遼太郎が資料集めを始めると、
関連書籍がその地域の古本屋や
古書業界から無くなるほどだった。という逸話を持つ

その時代考証は深く、司馬氏自身が目の前で
見てきたかのような細かい描写に活かされている。

戦国時代から、江戸末期、明治から昭和へと続く
藩同士の因縁が、今現在にも影響していることを再認識

ただ資料を集めて作品が完成するわけではなく、
巧みな人間心理や、一筆書きのような人物紹介、
男女の恋愛も絡めた思想活劇として
アウトプットするあたりは、稀代の作家と言わざるを得ない。

坂本龍馬(フィクションなので竜馬)や、高杉晋作の奇抜さに憧れつつも、
常に商売人でありたいとも考えているので、
登場する数々の商人達の行動から目が離せなかった。
(後の三菱財閥を創業する岩崎弥太郎も含め)

幾多の登場人物の中に(または、性格の一部に)
自分を重ね、改めて自己認識をしてみてください。

ちなみにウェブ担当は、作中の陸奥宗光に似てるなぁ、と思った自戒の次第であります。

周囲を巻き込んで、大事を成すための秘術
教えてもらえるので、組織に属する諸兄は読破しておくとお得。

2008年1月30日

源氏物語スイーツ 源空

「恋空」だとか、甘~い小説が流行っていますが、
本日紹介するのは、こちら。
元祖スイーツ系書籍、「源氏物語」です。

源氏物語か・・・ なんとなーく、ですら内容を知らず、
夜這いがどうとかの作品ってコトくらいのイメージ。あと、長文を予想させる文章量。

上記の理由により読んでいなかった自分にも、アナタにも朗報

最近の若者文体でトレースされた
源氏物語をスイーツ(笑)文にしてみるまとめ」

とっつき難い作品を、
今風にアレンジして、敷居を下げるってイイな。
過去の古典や良書を、こんかカンジで一箇所に集めたら
良いサービスになる予感。